羊を逃がすということ

あなたの為の本が、きっと見付かる

【月ベスト】11月に読んだベスト本|すべての、白いものたちの

ご無沙汰しております。最近、ちょっと身辺がばたばたしておりまして、更新が滞っておりました。漸く一息つくことが出来たので、ブログを再開いたします。 さて、該当月のベスト本を紹介するコーナーである、「月ベスト」である。気持ちだけは月末に仕上げる…

【雑記】グッドバイ|故郷紀行

伯父の葬式が終わった。 向かう道中、サカナクションの「グッドバイ」を聴いていた。最近、YouTubeでこの曲に関するご本人の解説があって興味深かった。マジョリティに対する別れの曲なのだそうだ。剥き出しの感受性のまま生きていくのは、苦しいことなのだ…

【雑記】叔父が死んだ夜|故郷紀行

叔父が死んだ。享年60だった。 仕事の休憩中、突然母から連絡があった。普段はLINEで一方的に要件を送り付ける母からの電話である。出る前から、嫌な予感がしていた。 「お兄ちゃんが死んだ。来てほしい」 電話口の母は泣いていた。私は二、三の慰めを口に…

【書評】大阪|自分の生きる街のエコー【岸政彦・柴崎友香】

私は大阪生まれの大阪育ちだが、よく大阪っぽくないと言われる。 同じ関西人に、大阪出身であると言うと驚かれることが多い。喋りが標準語っぽい(あくまで標準語っぽいだけで、ただの大阪弁である)ところや、あまり気が強くないところが、そんなイメージを…

【雑記】死につつある叔父|故郷紀行

自慢ではないが、私は家族と不仲である。本当に自慢ではない。 色々あったのだ。一言で片づければそれまでだが、私個人としてはのっぴきならない事態である。もし家族と疎遠の方がいるのなら、きっとこの不安を共有してくれるに違いない。即ち、家族が死につ…

【書評】すべての、白いものたちの|失われなかったものの痛みと癒しについて【ハン・ガン】

自慢ではないが、私はミーハーな人間である。 この時期にハン・ガンさんの作品を読むというのは、当然ながらノーベル賞受賞の報せがあったからであり、まんまとそれに乗せられたのだ。 正直なところ、私はあまり韓国文学というものに明るくない。というより…

【書評】灯台へ|寄せては砕ける波のような視点【ヴァージニア・ウルフ】

私は印象派の絵画が好きである。特に敬愛しているのはルノワールで、実物を前にしたときは吸い込まれるような絵に感動を覚えたものだった。 印象派の特徴に、分割筆致と呼ばれるものがある。色は混ぜ合わせると黒に近付いていくが、隣同士に配置すると鮮やか…