羊を逃がすということ

あなたの為の本が、きっと見付かる

【書評】耳に棲むもの|耳に纏わるざらついた物語【小川洋子】

随分長い間が空いてしまった。 12月以降、他界した伯父の後始末であったり、年末年始のごたごたであったりで、すっかり無沙汰になってしまった。気付けばクリスマスもとうに過ぎ去り、早くも新年である。皆様、明けましておめでとうございます。どうぞ今年…

【書評】ショートケーキは背中から|能動的に食べるということについて【平野紗季子】

年の瀬が近付くと、やることがどんどんと増えていき、気付けば忙殺の日々を過ごしている……と思いきや、やっていることは転職のための勉強であったり、忘年会の徹夜カラオケであったり、実はほどほどに暇なのかもしれない。時間を無駄にすることに関しては一…

【月ベスト】11月に読んだベスト本|すべての、白いものたちの

ご無沙汰しております。最近、ちょっと身辺がばたばたしておりまして、更新が滞っておりました。漸く一息つくことが出来たので、ブログを再開いたします。 さて、該当月のベスト本を紹介するコーナーである、「月ベスト」である。気持ちだけは月末に仕上げる…

【雑記】グッドバイ|故郷紀行

伯父の葬式が終わった。 向かう道中、サカナクションの「グッドバイ」を聴いていた。最近、YouTubeでこの曲に関するご本人の解説があって興味深かった。マジョリティに対する別れの曲なのだそうだ。剥き出しの感受性のまま生きていくのは、苦しいことなのだ…

【雑記】叔父が死んだ夜|故郷紀行

叔父が死んだ。享年60だった。 仕事の休憩中、突然母から連絡があった。普段はLINEで一方的に要件を送り付ける母からの電話である。出る前から、嫌な予感がしていた。 「お兄ちゃんが死んだ。来てほしい」 電話口の母は泣いていた。私は二、三の慰めを口に…

【書評】大阪|自分の生きる街のエコー【岸政彦・柴崎友香】

私は大阪生まれの大阪育ちだが、よく大阪っぽくないと言われる。 同じ関西人に、大阪出身であると言うと驚かれることが多い。喋りが標準語っぽい(あくまで標準語っぽいだけで、ただの大阪弁である)ところや、あまり気が強くないところが、そんなイメージを…

【雑記】死につつある叔父|故郷紀行

自慢ではないが、私は家族と不仲である。本当に自慢ではない。 色々あったのだ。一言で片づければそれまでだが、私個人としてはのっぴきならない事態である。もし家族と疎遠の方がいるのなら、きっとこの不安を共有してくれるに違いない。即ち、家族が死につ…