羊を逃がすということ

あなたの為の本が、きっと見付かる

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】同志少女よ、敵を撃て | 戦争は誰の顔をしているのか【逢坂冬馬】

私は、戦争を知らない世代である。 日本に住む多くの人々は、きっとそうであろう。戦争と言えば、広島や長崎の平和学習で学び、「戦争は怖いもの」「原爆は恐ろしいもの」と、最早触れてはならない常識の範疇に書き込まれてきた世代である。事実、戦争は本当…

【書評】石が書く | 自然の戯れというよりも……【ロジェ・カイヨワ】

石への興味というものは、あまり共感を得られないのだろう。 その昔、高校の修学旅行で山口の秋芳洞に行ったことがある。所謂鍾乳洞で、つららのように垂れ下がった鍾乳石を見ることが出来る。お土産に、私は切り出した鍾乳石を買った。見目鮮やかな橙色で、…

【書評】デートピア DTOPIA | 下腹部をいたわりたくなる本……【安堂ホセ】

先日、書店に足を運んだ時、もう芥川賞の発表なのかと時間の流れを切実に感じた。つい最近、「バリ山行」や「サンショウウオの四十九日」に関する書評を書いた気がするというのに、もう次の作品が発表されている。そんな訳で、買わずにはいられなかったのが…