海外の作家
自慢ではないが、私はミーハーな人間である。 この時期にハン・ガンさんの作品を読むというのは、当然ながらノーベル賞受賞の報せがあったからであり、まんまとそれに乗せられたのだ。 正直なところ、私はあまり韓国文学というものに明るくない。というより…
私は印象派の絵画が好きである。特に敬愛しているのはルノワールで、実物を前にしたときは吸い込まれるような絵に感動を覚えたものだった。 印象派の特徴に、分割筆致と呼ばれるものがある。色は混ぜ合わせると黒に近付いていくが、隣同士に配置すると鮮やか…
私にとって初めてのルシア・ベルリンは、数年前に読んだ「掃除婦のための手引書」だった。よく言えば簡素な、悪く言えば味気ないタイトルに惹かれた。短編集で、そのほとんどが一人称で書かれたものだった。 ルシア・ベルリンは明らかに生活を切り貼りしても…
かつて友人が、ミニマリズムに目覚めたことがある。 デヴィッド・フィンチャーの「ファイト・クラブ」が好きで、資本主義に対する反骨精神を燃やしていた友人だった。彼は部屋の中の家具の全てを捨て去り、身に着ける衣服も最小限に絞ったと言った。そして私…
初めて読んだカフカは、新潮社から出ている「変身」だった。世の中の多くの人がそうではないだろうか? あれは高校生のときで、私は軽音楽部に所属していた。ロックバンドという響きに憧れ、大きな声で叫ばれた言葉こそ真実だと思い込んでいた。そこで組んで…
愛というのは、極めて扱い難い観念である。 その原因は、主にハリウッドとディズニーの所為であると、私は思っている。そこから派生する形で巷に広がった様々なフィクションも、残念ながらその傾向に拍車をかけたと言わざるを得ない。 そうは言っても、私は…
私と弟がまだ小さかった頃、近所の田んぼでカエルを捕ったことがある。 どうしてそんなことになったのかは覚えていないけれど、とにかく捕って捕って捕りまくった。きっと子供心に狩猟本能をそそられたのだろう。だとしても、帰る間際に逃がしてやれば良いも…