羊を逃がすということ

あなたの為の本が、きっと見付かる

雑記

【雑記】グッドバイ|故郷紀行

伯父の葬式が終わった。 向かう道中、サカナクションの「グッドバイ」を聴いていた。最近、YouTubeでこの曲に関するご本人の解説があって興味深かった。マジョリティに対する別れの曲なのだそうだ。剥き出しの感受性のまま生きていくのは、苦しいことなのだ…

【雑記】叔父が死んだ夜|故郷紀行

叔父が死んだ。享年60だった。 仕事の休憩中、突然母から連絡があった。普段はLINEで一方的に要件を送り付ける母からの電話である。出る前から、嫌な予感がしていた。 「お兄ちゃんが死んだ。来てほしい」 電話口の母は泣いていた。私は二、三の慰めを口に…

【雑記】死につつある叔父|故郷紀行

自慢ではないが、私は家族と不仲である。本当に自慢ではない。 色々あったのだ。一言で片づければそれまでだが、私個人としてはのっぴきならない事態である。もし家族と疎遠の方がいるのなら、きっとこの不安を共有してくれるに違いない。即ち、家族が死につ…

【雑記】短歌を詠んでいますという話

短歌というものを始めたのは、とにかくブログの宣伝をしたいが為であった。 『X』でアカウントを作ったとき、何かしら人目について、かつ文学的な内容を簡潔に表現できるものを探そうと思って、思い付いたのがそれだったのだ。動機としてはかなり不純な部類…

【広重 ー摺の極-】広重とモネと源氏物語【感想】

現在、大阪の天王寺にある「あべのハルカス美術館」では、「広重 -摺の極-」という展示が催されている。広重とは無論、「東海道五十三次」で有名な、あの歌川広重である。今回はその展示に行ってきたので、簡単に感想を纏めたい。 私が美術というものに関…

半身で読んで、半身で詠んで

業務連絡です。ブログのアカウント名を「いこみき」とし、Xも始めました。 「自分の好きなものをもっと多くの人に愛してもらいたい」、そんな動機で私はこのブログを始めた。私は本が好きだが、残念ながら昨今、出版業は斜陽産業と言われている。私の友人で…

下鴨納涼古本まつりは畳の香りがする

高野川と鴨川に挟まれた三角地帯に位置する下鴨神社。京都に由緒正しき神社は山ほどあれど、中でも下鴨神社は平安以前から存在する屈指の大神社である。縁結びを始め様々な御神徳を得るべく、年間多くの参拝客が訪れるが、盆の時期に古本市が開かれているこ…

夏の読書、よだかの星

夏の読書について書こうと思った。夏で読書と言えば、矢張り読書感想文である。 読書感想文に苦労した記憶はない。元々日常的に本を読む習慣があるし、その感想を纏めるのも不得意ではなかった。だが別段、好きな課題という訳ではない。何より手間がかかる。…

ブログタイトルを変えました

業務連絡である。ブログタイトルを変更した。「羊を逃がすということ」という題で、これからも本の感想なりなんなりを続けていこうと思う。 なんとなく村上春樹臭のするタイトルだが、勿論由来はある。実はかねてより、かっちょいいブログタイトルを探してい…

家族が嫌で家を出た。そして家族が癌になった。

自慢ではないが、私は家族と仲が悪い。本当に自慢するような話ではない。 特に関係が悪いのは両親だ。理由はいろいろある。もともと夫婦仲がよくなかったとか、母親が妙な宗教に嵌っているとか、父親が旧時代的な亭主関白であるとか、学費の件で揉めたとか。…

「ルックバック」を見て

https://lookback-anime.com/ 先日、「ルックバック」という映画を見た。これがもう本当に素晴らしい作品で、劇場を去った後も暫く呆然としてしまう程だった。一時間足らずの映像でここまで心揺さぶられるとは思わなかった。まさしく傑作である。 このブログ…

素晴らしい比喩とは、すなわちバニラのようなものである

比喩表現というのは、技巧的にはごくごく有り触れたものである。「○○のように」、「○○みたいに」という語句は日常的に発せられるものだし、例えばこの記事のタイトルも比喩になっている。とは言え良き比喩という話になると、少々首を捻りたくなる。 そもそも…

赤い林檎と孤独な檸檬

「何の為に本を読むの?」 しばしばそう訊かれる。困った。私には本を読む理由などないからだ。それは「何の為に靴を履くのか?」とか「何の為にコーヒーを飲むのか?」といった質問と同じで、そもそも私の生活には読書が組み込まれている。今更盲腸のように…