業務連絡です。ブログのアカウント名を「いこみき」とし、Xも始めました。
「自分の好きなものをもっと多くの人に愛してもらいたい」、そんな動機で私はこのブログを始めた。私は本が好きだが、残念ながら昨今、出版業は斜陽産業と言われている。私の友人でも、本を全く読んだことがないという人は多い。理由は様々だろう。仕事が忙しい。他の娯楽が溢れている。読みたい本がない。例を挙げれば幾らでもある。
けれども、矢張り本は素晴らしいものだと思う。本を読むと賢くなるとか、人の気持ちが分かるとか、そういう次元とは異なる。理屈以前に、骨組みの段階から私の生活には読書という要素が組み込まれているのだ。抜いてしまえばたちまち総崩れとなってしまう、根本付近に、である。
思えば、本という媒体ほど人間を表したものはない。考古学と歴史の違いは文字文化の有無と言われるが、書物はその中心をなすものである。
例えば、最古の歌集である万葉集には、語義不明な言葉が多く登場する。枕詞である「あしひきの」などが有名ではないだろうか。広辞苑を引くと、次のような説明がある。
あしひき-の【足引きの】
「ひき」は「引き」ではなく、「足痛(あしひ)く」の「ひき」か。または「木」などの意か。一説に、「あし」を葦と解する。後には、アシビキノとも
ふんわりとしている。そんな単語でさえ残るほど、書物は時間に対する耐久度が高いのである。
人類史において、書物ほど情報を後世に残すことの出来るメディアは存在しない。いま主流の電子的情報が、果たしてどれほど未来で影響を及ぼすかは、時間の試練を経た後でしか確かめようがない。大袈裟に言えば、本を愛するというのは歴史を、ひいては人間を愛するということなのかもしれない。それは最早娯楽の範疇を超え、ある種の生き方と言っても差し支えないのではないだろうか。
私はそんな生き方を、この場で実践したいのである。
松尾芭蕉は各地を放浪しながら、風流を生活の中心に据えたというが、そこまで極端なことは出来そうにない。私に出来ることと言えば、せめて本と共に生活を送ることくらいのものだ。そんなことを考えているうちに、ふと「半身で生きる」という言葉を思い出した。三宅夏帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」にあった言葉だ。
含蓄に富む言葉である。健康に気を遣い、精々長生きし、読書という旅を息長く続けていきたい。『初しぐれ猿も小蓑をほしげなり』は芭蕉の句である。そういう景色も、旅の果てには見えるかもしれない。
という訳で、宣伝甚だしいのだけれど、冒頭の「X」の話に戻るのである。名前にも勿論、由来はある。
「いこみき」というのは四字熟語である。よかったらお手元のデバイスに打ち込んで変換してもらいたい。「已己巳己」と出ただろうか? ちなみに意味は、「互いに似ているものを例えて言うのだという。どうやら漢字が似ているというだけで、この四字熟語は出来上がったらしい。
由来はあると言ったけれど、別段思い入れがあってこの名前にした訳ではない。強いて言えば、平仮名表記が可愛かったのと、絶妙に人名っぽかったから採用したのだ。しかし今にして思えば、悪くない筆名なのではないだろうか?
世の中には似たようなブログは山のようにあるけれど、そんな中で差別化してオリジナリティを出していかなければならないというのは、已己巳己とは真逆の概念である。そこが何とも皮肉になっていて、何だか初心を思い起こさせるようで、妙に緊張感がある。自戒としては効果覿面である。
折角「X」の話が出たので、ついでに中身の紹介もしておきたい。現状は書籍関連のポストを投下しつつ、新作情報や文学関連のニュースを取り扱うアカウントを目指している。が、如何せんフォロワーが全然いない。これを書いている今現在でも……と数字を書こうとしたが、恥ずかし過ぎてお見せできるレヴェルではないのだ。
なので、今現在はフォロワー獲得に向けて頑張っている真っ最中であると述べるに留めたい。そうは言ってもSNSは素人なもので、正直どのようにしたらフォロワーが増えるのかも分かっていない。気分は転校したての小学生、野良犬デビューのポメラニアンである。
そこで私は考えた。こうしてブログも運営しているくらいだし、文章には五月蠅い自負がある。「X」で人気者になりたければ、文章で魅せればいいじゃない。しかし毎度毎度面白い投稿が出来る訳ではない。せめて何か題材があれば……。
短歌マガジン(次世代短歌) (@tankazine) / X
そんな矢先に見つけたのだ、「短歌マガジン」さんと「単語で短歌」さん。両者とも、毎日短歌の題材をポストしてくれるのである。これをこなしていれば、何かの弾みでバズることだってあるかもしれない。もともと短歌や俳句は好きだったし、「X」との相性も良いと思っていた矢先である。まさしく渡りに船だ。
そうして日々短歌を読み続けた結果、私のフォロワーはアマチュア俳諧の方々ばかりである。このブログの趣旨である「書物の魅力を伝える」同士というには、絶妙に従弟くらいの距離感がある気がするが、気の所為だと思いたい。そしてもう、回り始めた歯車を止めることは出来ないのである。
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