羊を逃がすということ

あなたの為の本が、きっと見付かる

【雑記】これまでの話と、これからの話

 

 書評ブログと名乗っていながら、本を読む暇がまるでなかった。言い訳をすると、仕事が忙しかったのだ。とは言え、通常業務が極端に増えたとか、そういう話ではない。転職活動やら退職の手続きとやらで、プライベートの時間が確保できなかったというのが、実情である。

 

 私はこれまで、飲食業界で働いていた。理由は単純で、アルバイトから正社員になる為のハードルが最も低かったからだ。20代の前半をフリーターとして過ごした私にとっては、何よりそれが有難かったのである。そしてこの度、新しい職へと鞍替えすることに決めた。今回はそんな、プライベートな話。

 

 中学生の頃から、私は小説家という職業を夢見ていた。理由はもう覚えていない。私は将来自分が当然作家になるものと思い込んでいたし、その為に生きていたつもりだった。

 だから大学を卒業するとなったとき、思わず立ち止まってしまった。おかしい。私は小説家になっていないではないか。親には大学院に進学すると嘘を吐き、そのまま院試も受けず、就活もせず、家賃3万少々のボロアパートで一人暮らしを始めた。後輩に紹介されたファミレスでアルバイトをしながら、本を書き続けていた。

 

 狙ったのは文芸雑誌の新人賞だった。書くものの分量にあわせて、様々な賞に投稿した。一次選考は何度も通ったし、二次選考通過したものもある。けれどそれだけだった。私の描いた理想像は、他ならぬ私自身の為に削れていった。

 

 おかしい。

 やがてコロナがやってきて、時短営業でファミレスでの月収が月13万ほどまで落ち込んだ。空調はつけず、娯楽の類も極力減らし、夕食は箱アイスを一本ずつ舐めながら凌いだ。本は書き続けたが、結果は出ないままだった。そんな中、大学を卒業してから五年が経とうとしていた。

 そろそろ正社員就職しなければ、会社員というキャリアの芽は摘まれることになる。非正規社員としての経歴や、就職後の収入を加味すれば、いま働いているアルバイト先での正社員雇用が、一番の近道に思えた。そうして私は、飲食業界の正社員となったのだった。

 

 

 転職を考え始めたのは去年の夏ごろからだった。理由はいろいろあるが、一番はスキルが身につきにくい環境だったということだろう。最近のファミレスはセントラルキッチン方式といって、どこかの工場で完成寸前まで作成された食材を、店舗で組み立てるのが主流となっている。

 

 その方が品質も安定するし、スピード提供できるので画期的なのだ。だが残念なことに、店舗で勤務している側からすれば、やっていることはコンベアから流れてくる食材を組み立てているだけに過ぎない。ローカルな技術は身についても、他社でも利用できるような一般化されたスキルは手に入らない。そして我が社は、労働環境から見ても定年退職まで続けるのが厳しそうというのが正直なところだった。

 

 何の能力もないまま高齢になってから転職するか、まだ二十代の内にスキルの身につく会社でリスタートするか。私は後者を選んだ。転職の理由はそれだった。

 

 本当は働きながら就職先をゲットするつもりだったが、なかなか時間を確保するのが難しく、中途半端な結果しか得られなかった。内定は得たものの、あまり待遇も良くなく、転職エージェントに迫られる中、今回は見逃してスキルを得た上で夏の再就職を決意した。

 

 現在はIT系での就職を目指し、ポートフォリオの作成に勤しんでいる。ポートフォリオというのは言ってしまえばサンプルのようなもので、企業様に自分はこんなものを作れますよとアピールするwebアプリケーションのことだ。

 残念ながらIT系の知識はないので、勉強から始めなければならない。友人の力を借りながら、取り敢えずは一生懸命という感じである。

 

 とはいえ、だ。そもそも私は小説家になりたかったのだ。今は29で、チャンスはまだある。35までのデビューを目指し、計画を立ててみようと、そう思った。一年に二冊書いて、それを新人賞へと送る。狙うは新潮新人賞。過去の投稿遍歴から見ても、一番相性が良いと思っている。

 

 という訳で、一旦仕事を終え、勉強期間がやってきたので、またこのブログも再開しようと思う。本の感想、プログラミングの愚痴、エトセトラエトセトラ。ついでに執筆の進捗なんかも目に見える形でアウトプットしたいところだ。

 

 はてさて、今後はどうなることやら。とりあえずは夏の転職シーズンに向け、今はエラーと戦い続ける日々である。