羊を逃がすということ

読書のための羅針盤

【書評】死の瞬間 人はなぜ好奇心を抱くのか | 誰も避けることの出来ない終端について【春日武彦】

死の瞬間 人はなぜ好奇心を抱くのか (朝日新書) 作者:春日 武彦 朝日新聞出版 Amazon 「死をはじめて想う。それを青春という」 そんなキャッチコピーを眼にしたことがある。確か山田風太郎さんの「人間臨終図鑑」の帯に記された言葉だったと思うが、未読かつ…

【書評】なぜ人は自分を責めてしまうのか | 自責からの解放の旅路【信田さよ子】

なぜ人は自分を責めてしまうのか (ちくま新書) 作者:信田さよ子 筑摩書房 Amazon 「なぜ人は自分を責めてしまうのか」 信田さよ子さんの書かれた本書を買い求めたとき、私の念頭にあったのは前職での出来事だった。 前職を、私は人間関係が原因で辞めている…

【書評】ツァラトゥストラはこう言った | 人生を愛するということ【ニーチェ】

ツァラトゥストラは こう言った 上 (岩波文庫) 作者:ニーチェ,氷上 英廣 岩波書店 Amazon 「ツァラトゥストラはこう言った」は言うまでもなくニーチェの名著である。 私はどちらかというと、「ツァラトゥストラはかく語りき」というタイトルの方に馴染みがあ…

【書評】樟の窓 | 日常のささやかなさざめき【大辻隆弘】

樟の窓 (短歌日記シリーズ) 作者:大辻隆弘 ふらんす堂 Amazon 初めに断っておくと、私は短歌の素人である。 それを言えば小説だって素人なのだが、少なくともそちらは読んだ冊数がある程度の力になるのではと思っている。だが歌集ともなると、まともに読んだ…

【書評】工場 | ちょっとしたいやらしさを彷徨う【小山田浩子】

工場(新潮文庫) 作者:小山田浩子 新潮社 Amazon 小山田浩子さんと言えば、数年前に「穴」で芥川賞を取った方である。当時読んだ印象は、ちょっとした現実のいやらしさを書くのが上手な作家というものだった。ちょっとしたいやらしさ、というのは、具体的に…

【書評】パーク・ライフ | 目的地を告げないまま何処までも【吉田修一】

パーク・ライフ (文春文庫) 作者:吉田 修一 文藝春秋 Amazon 吉田修一さんの「パーク・ライフ」は、私が在籍していた前職の上司が勧めてくれた本である。 正確には、勧められたのは別の作品だったが、その過程で本書の話題が上がったのだ。「公園にずっとい…

【書評】おいしいごはんが食べられますように | 弱さに対する理不尽な憧れ【高瀬隼子】

おいしいごはんが食べられますように (講談社文庫) 作者:高瀬隼子 講談社 Amazon 自分で言うのもあれだが、私は自炊をする方だと思う。でも、決して自炊が好きな訳ではない。ただ単純に外食だと高くつくから、自炊をしているに過ぎない。 現在、私は転職活動…